【第7回】映画「THE FIRST SLAM DUNK(スラムダンク)」レビュー

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私が長年続けていることの一つに『週刊少年ジャンプを読み続ける』ことがあるのですが、それもぼちぼち30年になります。
私がジャンプを読み始めた小学生の頃は、まさにジャンプの黄金期。ドランゴンボール、ダイの大冒険、ジョジョ、幽遊白書などなど、今でも誰もが一度は耳にしたことがあるラインナップがひしめき合っている頃でした。

それまでスポーツと言えば、まだまだ野球、サッカーが多数派のこの時代にスポーツ漫画の代表作品として君臨していたのが「SLAM DUNK(スラムダンク)」でした。

真っ赤な頭の不良高校生・桜木花道がひょんなことから始めたバスケットで、人として、バスケット選手として成長し、個性豊かなチームメイトたちと強豪高校の選手たちと渡り合っていく姿は爽快でした。

自分が中学生に上がる頃にスラムダンクは、漫画としては佳境で人気大絶頂。スラムダンクをみて中学の部活にバスケットを選ぶ人は多かったです。(ちなみに私は軟式テニスで、スコート女子をニヤニヤ見てるオマセ系男子)

スラムダンクの映画化が発表された2021年1月当初は、やっぱり今更感があってあまり注目されていなかったような気がします。
スラムダンクはアニメで印象を強く残している人も多く出、声優が一新されそのことも向かい風になっていた感じがありますね。

しかし、封切をしてみればそんな杞憂もどこ吹く風。ひと月で興収50億円を超えるヒットを飛ばしています。

そんな勢いのある映画「THE FIRST SLAM DUNK(スラムダンク)」をレビューします!
ネタバレ有りですので、まだ見てない方は悪しからず!

【THE FIRST SLAM DUNK(スラムダンク)】基本情報

〇タイトル
『THE FIRST SLAM DUNK』

〇上映時間
124分

〇公開日
2022年12月3日

〇原作、監督、脚本
井上 雄彦

〇声の演出
仲村 宗悟 (宮城リョータ 役)
笠間 淳 (三井寿 役)
神尾 晋一郎(流川楓 役)
木村 昴 (桜木花道 役)
三宅 健太 (赤木剛憲 役)

〇オープニング曲
The Birthday『LOVE ROCKET』

〇エンディング曲
10-FEET『第ゼロ感』

あらすじ

神奈川県予選を2位通過でインターハイ出場を決めた湘北高校は、大会前の下馬評を覆し、初戦の大阪・豊玉高校に勝利します。

本作のストーリーは、その次の試合となる高校バスケの絶対的王者『秋田・山王工業』との試合を軸に進みます。(単行本で言うと25巻から最終31巻までに当たります。)

原作を知っている方にとっては言わずもがなの名試合。

湘北高校は最初のワンプレーでアリウープを決め、会場を沸かせながらも、名実ともに桁違いの格上を相手に、何度も絶望的な点差をつけられます。しかし、そのたびに、三井のスリーで、流川の覚醒で、桜木のリバウンドで、湘北高校は諦めず食らいつくのです。這い上がってくる湘北高校の姿には、ジャンプ連載時に自分も震えたし、今読み返しても勇気がもらえます。

そんな名シーン盛りだくさんの山王戦に、原作では描かれることのなかった湘北高校のポイントガード切り込み隊長「宮城リョータ」の生い立ちを織り交ぜながら描かれているのがこの「THE FIRST   SLAM DUNK」です。

ネタバレ・感想

 

私は原作はリアルタイムで見ていたので内容は知っていたし、何んとなく観たネット情報から、山王戦がメインで描かれているらしい、ということは知っていましたが、それ以外は大した下調べも無しに、タイミングが合った時に、よしッ観に行こう!って感じでスラムダンクを観に行きました。
なので、入館時におまけ的にもらったカード(上の2枚)の画が「宮城リョータ」だった時に、正直「なんだ、三井か、流川がよかったなぁ」なんて思っちゃったんです。

でも、周りを見てみると他のお客さんが持っているカードも、みんな宮城なんですよね。しかもこのカードの裏はどうやら小5のリョータらしくて…。

で、どういうことかな、って思って映画を観始めたら、沖縄から始まるわけです。❝宮城さん❞は沖縄に多い姓というのは知っていたので、あー、なるほどそう来るんか!?みたいな感じでした。

原作スラムダンクは主人公・桜木花道をはじめとした湘北高校の中心選手5人がそれぞれキャラが立っていて、みんな魅力的なのですが、その中で、宮城リョータ推し!って読者は少なかったと思います。
リョータにはドリブルが早い!とか、ゲームメイクが得意ってのはあるんですが、他キャラの、ダンクがすげー!とか、スリーが超入る!ってのに比べるとやっぱ地味なんですね。リョータがシュートするシーンって数えるほどだったと思うし、漫画全体を見ても、見せ場は全体的に他の選手に比べると少なかったはずです。

そのリョータをこの映画の主人公に持ってきた!っていうのが、まず衝撃でした。
映画を観た後、パンフやら、ネット記事やらで観てみると、リョータが原作内で十分描き切れなかったという感は、作者の井上氏自身にもあったようです。

リョータの生い立ち

幼少期のリョータは沖縄で両親と兄ソータ・妹アンナの5人家族で住んでいましたが、リョータ小5のある日、父親が亡くなります。家族思いの3歳年上(誕生日がリョータと同日)のソータは母を支えようと気張りますが、如何せんまだ中学生、母のカオルは途方に暮れなかなか立ち上がれません。

ソータは、地元バスケチームFIGHTERSの中心選手で、試合ではいつも目立っていました。そんな兄に憧れてかリョータもバスケに明け暮れます。同年代ではなかなかの腕前のリョータも、目標であるソータはまだ遠い存在。ソータも練習相手になってくれますが、憧れと、負けたくないプライドの狭間で揺れる気持ちに兄の気持ちに素直に応えられません。

そんなある日、リョータと練習をするはずだった、ソータは元々約束のあった友人達と海釣りに出るのですが…

成長したリョータは、バスケを続け兄の所属していたFIGHTERSのチームに所属していました。

上手さはあるけれども、ここ一番で気持ちの強さが出てこない感じ。さらには同じチームの中心選手だった❝あの❞ソータを兄に持つことから、どうしても比較されてしまいます。

海釣りで船に乗ったソータは、あの日、帰って来ませんでした。

夫に続き、長男までも無くした母カオルは打ちひしがれ、成長していくリョータとも上手く向き合えなくなっています。

ツラい思い出ばかりが残ってしまった我が家。カオルは、長年慣れ親しんだ沖縄を離れ、横浜に引っ越すことに決めたのでした。

リョータ視点で進むストーリー

原作では、がっつり一年以上をかけて描かれた山王戦です。この試合だけでも見どころは山ほどあるのですが、試合を描くだけではサッと流れるような単調な映画になってしまいがちです。

そこで、合間合間に各所に湘北メンバと湘北バスケの成り立ちが織り込まれるのですが、その視点がリョータを中心として描かれます。

リョータは、バスケを良く知っているゲームメイカーでクセの強いチームメイトを取り持つ意味合いも強いキャラです。(まぁ、リョータ自身も短気で喧嘩っ早い設定の問題児ではあるけども)

三井寿との馴れ初め(?)や、初め生意気扱いされながらも赤木から信頼を得ていく様子は、昔から知ってるゾ!組の自分からすると微笑ましい感じでした。

その他、原作では描かれなかった描写として、インターハイのために広島に遠征する前の晩、母親に手紙を書くシーンがあるのですが、そこで少しだけ母親に対するリョータの気持ちが現れています。生き残ったのがソータではなく自分であったことに申し訳なく思う、という内容で書き始め途中で丸めてゴミ箱に投げ捨てる様子に、少し泣きました。

山王との試合の様子も、リョータの感覚を通じたものが描かれているなーと感じる場面が数多くみられます。

湘北も、山王もみんな魅力的♪名言も!

とは言え、随所で滲むのは湘北の各選手の魅力。

私は、息子の名前に漢字を使っちゃうくらい三井寿が昔っからの推しキャラなので、へばって死にかけながらも渾身のスリーを撃っての「静かにしろい~」のシーンがちゃんと描かれているのは嬉しかったです。

勿論、河田にコテンパンにやられても湘北は負けないゾ!と踏ん張る赤木も、試合の中で成長していく流川も、リバウンドに目覚める桜木も、大事なシーンはきっちり描かれていると思いました。

ファンなら知ってる名言が各所にあるのも嬉しいですよね。

味わいのあるアニメーション

初の監督まで務めた井上氏ですが、漫画の味わいを活かした動画にこだわっていたようです。スタッフにもそれが伝わって作品に現れているなと感じました。

山王戦のラスト、「セリフのない例の回」は未だに伝説的ですが、あのスピード感と緊張感はしっかりと「漫画をアニメにした表現」として実現されていると感じました。

ただし、山王戦決着シュート時の桜木の名台詞は口パク。この映画では主役は、桜木ではないようですね。

声優の総替わりについて

声優が変わったことについては公開前から、結構盛り上がっていたようですが、私はテレビアニメを見ていた頃からだいぶ時間が経ていたためか、それほど気にはなりませんでした。

湘北の選手たちは、リョータ以外は主に試合でプレイ中の様子でしか描かれていませんし、長いセリフや、会話が重要になるシーンは比較的少なめの作品だと感じました。

映画のテンポ

テレビアニメはインターハイに出場が決定し、広島へ遠征に行く場面で終わるため、山王戦をアニメで、と切望する声はずっとありました。(私自身もっずっと観たかった)

原作終了後、25年を経ての映画製作の発表で山王戦が描かれると知って、『うぉーっしゃー!』と思ったファンは多かったのも納得で、なので、純粋に試合内容の再現を望む声も多かったようです。

だからなのか、純粋に山王戦の試合に特化したアニメを期待していたファンからは、試合の合間のリョータの過去が差し込まれる映画の構成はテンポが悪く感じるといった声もあるようです。

確かに20余年前くらいの時期であれば、漫画作品としての熱が残っており、当時の声優陣で臨めたであろうなので、それもアリだったのかもしれないです。

しかし、観る層も今の若い人も意識しなければならない今となっては、それではマズい。原作者であり、監督を務めた井上氏だって人として25年を積み重ねた今、漫画をなぞるだけの動画にしたくないのも頷けます。

私自身としては、語り役(別に❝語る❞わけではないが)としてのリョータのエピソードが存在することで、作品に味わいが出て、バランスが取れた作品になったように思います。(流石メイキングが得意なポイントガード)

ラストシーンについて

山王戦の後日談として、アメリカに渡った山王のエース沢北と対戦するリョータが対峙するシーンが描かれます。

が、実力差から言ってありえねーだろ!おい!

との声が多数あります。

A Basketball with a chrome patina on a Red Table

山王戦の時点で渡米が決まっていた高校ナンバーワンプレイヤーの沢北のライバルは流川であり、アメリカで戦うのであれば流川じゃないかとの意見です。

まぁ、これも確かにねって感じもしますけど、いくらでも伸び代のある高校生の話ですから。

リョータだって、山王戦までに同じ神奈川県代表の海南・牧を始めとした数々のPGと対峙して成長してるわけですし、その後、さらなる成長があったとしても不思議じゃないです。

というか、映画を観終わった後だと、アレも良かったな、というのが個人的な感想です。

OP・EDの曲について

オープニングのThe Birthday『LOVE ROCKET』と
エンディングの10-FEET『第ゼロ感』は、
どっちも映画にマッチしていて最高にカッコよくて、

個人的に『第ゼロ感』の疾走感は快感ですねファンになっちゃいました。
おすすめですよ!

まとめ

良い作品は、時代を超えても色褪せず、それどころか成熟し、進化する。
今回見た「THE FIRST SLAM DUNK」もまた、そんな映画でした。

自分が幼かった頃に好きだったものが、姿を変えて、さらに進化した姿で蘇るという場面に出くわすと、肌が泡立つような感動を覚えます。

あー、まだあの時の情熱は自分の中で死んでいないんだなー
と、少し元気になれました。

原作を知る中年のアナタも、スラダン?あー聞いたことあるわーくらいのお若いあなたも、
是非、映画館で観てみてくださいね!

 

では、次のレビューでまたお会いしましょう!

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