【第3回】映画(洋画)「パーフェクト・ワールド」レビュー

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前回に引き続き、また親子モノです。
正しくは脱獄犯をブッチ(ケビン・コスナー)と、8歳の人質
フィリップ(T・J・ローサー)のお話しなので、全然血のつながりは
ないんですが、二人ともよき父に恵まれず、父性に満たされなかった点
において共通で、お互いが寄り添うように描かれるストーリーはなかなかに親子モノです。
かつ、友情物語かな。

わたくし、社会人になってからは、ドンパチわいわいのアクションものや
アニメを観る機会が多かったのですが、たまにはしっぽりロードムービー
もよいものですね。映画も食事と同じく、バランスが大事です。

では、レビューさせていただきます。

毎度ながら、ネタバレ含むなので、その点ご了承をば!

【パーフェクトワールド】基本情報・キャスト

〇タイトル
『パーフェクト・ワールド』(原題『 A Perfect World 』)

〇上映時間
138分

〇公開日
1994年3月公開(日本)
1993年11月公開(アメリカ)

〇脚本
ジョン・リー・ハンコック

〇監督
クリント・イーストウッド

〇出演者
ケビン・コスナー(脱獄囚・ブッチ役)
T・J・ローサ―(人質・フィリップ役)
クリント・イーストウッド(保安官/警察署長・レッド役)
ローラ・ダーン(犯罪心理学者・サリー役)

〇一押しポイント
アカデミー賞受賞者の競演。

あらすじ

1963年の秋、ハロウィーンを迎えたテキサス州の監獄から二人の囚人が脱獄する場面から物語は始まります。
囚人の名前は、ブッチとテリー。
二人は逃亡後手始めに、「エホバの証人」を信仰する母子の家に押し入るのですが、騒ぎを聞きつけた近所の人たちが駆け付け、やむなくこの家の子供フィリップを人質に逃げることになります。

トウモロコシ畑での事件

ブッチ達三人たちは一路北を目指して逃亡を開始しますが、途中で立ち寄った雑貨店でアクシデントが。
ブッチが店で食料などを購入する間、凶悪なテリーを監視するようフィリップに命じ、テリーに向けて銃を構えさせるにですが、隙をついて銃を取り上げてしまうのです。
弾は抜いてありましたが、それでも殺人犯と子供です。フィリップはたまらず車から逃げ出し近くのトウモロコシ畑に逃げ込みます。

一方、買い物を終えたブッチは異変に気付きます。
トウモロコシ畑で震えるフィリップを先に見つけたブッチは、そこでテリーを待ち伏せて脳天に一発…
ブッチも脱獄犯とは言え、好んで殺人を犯すタイプではありませんが、日頃からフィリップをいびるテリーの凶行を危惧しての殺人でもありました。

またその頃、二人の脱獄の報を受け、テキサス・レンジャーの署長レッドと女性犯罪心理学者サリーが捜査・追跡に動き始めます。

ブッチの生い立ち

本作はブッチの物語です。彼を構成する背景は重要な要素ですが、彼の幼少期を明確に描いた場面はありません。
ただ、ブッチ自身の話や、レッドの話から察するに何かと母親や自分を殴りつけるロクデナシだったようです。

そんな生い立ちからか、ブッチは彼自身は子供を痛めつけることは決してしませんし、むしろ子供に対しては人の親たらんとする姿勢さえ見えるようでした。

しかし、ブッチは父親から届いたたった一枚の絵ハガキを大切に持っていました。
場所は遥か北の地、アラスカから。

『二人のロードムービー』

本作の一番の見どころは、ブッチをフィリップの二人が交流を深める過程でしょうね。

フィリップはエホバの家庭に生まれ育ったため、ハロウィンを始め、普通の子供が体験するであろう楽しみの多くを知りませんでした。

これに驚いたブッチは、一日遅れのハロウィンに手を貸したり、フィリップをフォードの屋根に乗せてジェットコースターごっこをしてやったりします。

フィリップも母子家庭の育ちです。彼らは互いに、欠けていた「父親とは…?」という欠けたピースを埋めていくようにも見えます。

途中立ち寄る服屋でフィリップが犯した「うっかりキャスパーの衣装を持ち逃げ」以降、ブッチとフィリップの会話が増えます。
『タイムマシーン』の話とか、『覗かれちゃった』話とか、ちょっと微笑ましいです。

『 レッドの業(ごう) 』

レッド達はこのあと一度、ブッチ達とニアミスするのですがこの際にトレーラーが破損してしまいます。

彼らは修理の為、野宿を余儀なくされるのですがその夜、レッドはサリーに、ブッチの過去を明かします。

レッドは、まだ幼いブッチが車を盗んだ時、荒れた家庭環境を配慮して少年刑務所に入れることを判事に進言したことが裏目に出てブッチの素行悪化の一因となったことを悔いていたのでした。

『 ブッチのルール 』

レッドの追跡から逃れたブッチ達は、逃亡の途中トウモロコシ畑に身を潜めます。

日も落ち、あたりも暗くなったころ、フィリップは家を恋しがる素振りを見せます。
幼い人質、自分の目的、狭まる包囲網…、ブッチは一考しフィリップにこう言います、

「家庭の事情でできなかったけど、本当はやりたかったことのリストを作れ」

そして夜も更けた頃、ブッチ達の前に畑の管理をしているマックに声を掛けられます。
「旅の途中だ」と誤魔化すブッチに、マックは「うちのベッドで休んで行け」と誘います。

翌朝、フィリップはマックの孫クリーブランドに起こされ目を覚まします。

一件どこにでもある家族風景、しかし、この家庭で一つブッチにとって許せないことがありました。
それがマックのクリーブランドに対する平手による厳しい躾。

頻繁に繰り返される平手。

そこに、またもラジオでからブッチ達の情報が流れます。

瞬間その場に走る緊張…
マックは孫を近所の親戚の元に行かせようとするも、ブッチに遊んでもらっている孫はこの命令を聞きません。

そして、またも平手…

怒れるブッチと混乱のフィリップ

これをきっかけに、ブッチがついに我慢できず、マックに銃を突きつけます。
ブッチが、マックをロープで縛り上げ、祈りを辞めない家族たちの口をテープで塞ぎます。

これまで、見せたことがないほどのブッチの暴力性に怯えるフィリップ。
一家皆殺しまで思わせるような勢いに
幼いフィリップの目には余程恐ろしい光景に見えたに違いありません。

混乱したフィリップはブッチの隙をついて銃を取り、ブッチの脇腹を撃ってしまうのでした。

銃の衝撃に我に返りその場から逃げ出すフィリップをブッチはふらつきながら追いかけます。

撃たれた脇腹を抑えながらも、追いかけ、フィリップに話しかけます。

「殺すつもりはなかった。今までに俺が殺したのは二人だけさ。
お袋を殴った奴とお前に手を出した奴。男同士話し合おう。そして、また出かけよう」

フィリップは木の上に逃げますが、やがてブッチが追いつき、根元に倒れ込むのを見ると、するりと降りてきて一言謝ります。
それに対し「撃たれるんなら、お前で良かったさ」とさらりと返すブッチ。
さらに、例の絵ハガキが自分の父親からのものであり、アラスカにいる父親に会おうとしていたことをフィリップに明かします。

先ほどの凶暴さとはとはうって変わって、冷静さを取り戻したいつものブッチ。ほんの束の間、平穏な風が流れます。

『 託した想い 』

些細な(?)諍いはあったものの話し合い元の中に戻った二人。

しかし、通報を聞きつけ、警察たちが集まり始めます。
そこにはレッドとサリーの姿もありました。さらにはフィリップの母親の姿も。

もう逃げきれる状況ではありませんでした。

拡声器で話しかけるレッド達に対し、ブッチは、いくつかの条件をもとにフィリップを解放することを約束し、昨晩、フィリップに書かせたやりたいことリストを読みあげます。

フィリップには駄賃だと言わんばかりに、襟に札束を突っ込み、お面をつけて、母親の元に行くように促します。

一度は、母親たちに向かって歩き出すフィリップですが、途中でブッチのところに引き返してしまいました。

ケガをしたブッチを放っておけず、抱き付き離れません。
ブッチも観念して、フィリップと一緒に警官隊の方へ行くことを決意します。

様子を見て、命令があるまで決して撃たないように部下に指示した上、丸腰でブッチに近寄ります。

この時、ブッチがかつて自分を少年刑務所に入れた男であることに気付いていたかは定かではありませんが、話に応じる様子が見えました。

登降はする。でもその前に、フィリップと話をさせてほしいと、ブッチはレッドに話します。

ブッチは例の絵ハガキをフィリップに託すため、ポケットに手を伸ばすのですが…
それと同時に、一発の銃声が鳴り響きます。

この様子を見ていたレッドの部下が、銃を取り出すものと勘違いし、狙撃したのでした。

フィリップは、ブッチの手元から絵ハガキを受け取ったところで場面は冒頭に追いつきます。

爽やかな風に舞う紙幣、ブッチの傍らにはキャスパーのお面が微笑んでいます。

飛び立つヘリの中でフィリップは、絵ハガキをブッチに見せながら、物語は幕を下ろします。
思いを受け取った、と示すように。。。

キャストについて

ケビン・コスナー(ブッチ役)

「パーフェクト・ワールド」のテーマは「父性」です。背も高く、がっしりとした体格は観る者に父親(仮だけど)としての説得力を感じさせます。
彼も「フィールド・オブ・ドリームズ」や「ボディガード」といった話題作で着実に俳優としてのキャリアを積み上げ、また、監督業としても手腕を発揮し始めた時期でした。そういった自信も各所に感じる気もします。

共演者で監督のイーストウッドと脚本・演出の面でぶつかったとの噂もあるようですが、明確な情報ソースはありませんでした。私個人としては実力のある二人がともに協力し合ってできた名作であるといった印象が強いように感じますがどうでしょうか。

近年の出演作品では
1960年代のNASAを舞台とした「ドリーム」での有能な上司役や、選手生命を絶たれたアスリートの転身を描いた「モリーズ・ゲーム」における厳格な父親役などが印象的です。
“主役”の彼が見られないのはいささか残念ではあるものの、渋めの大人な役柄で注目を集める機会が増えています。

クリント・イーストウッド(レッド役)

私にとっては、ダーティー・ハリーの印象が強すぎる彼の役としては、初見の時はレッドは随分おとなしい役だと感じました。しかし、よき父親に恵まれなかったブッチを思い少年刑務所への入所を提案しましたが、ブッチにとって良い結果には結びつきませんでした。しかし、親に近い目線でブッチを見守った人物として、父性を顕わす人物の一人と言えます。

また、先述のように本作では監督も勤めていますが、彼の演出の特色として”飾り気が少ない”ことが挙げられますが、小説を読むように淡々と進むストーリーは、自然と作品に没頭させる催眠効果もあるような気がします。

若かりし頃は今でいう”チャラ男”ような一面もあったようですが、揉まれた人生を送った結果、現在は誰もが認める巨匠の一人です。

れにしても90を超えた今なお俳優・プロデューサーの両面で現役とは恐れ入りますね。

フィリップ(T・J・ローサー)

全体として静かなシーンが多い本作の中で、セリフは少ないのに存在感はしっかりです。
絶妙な表情で7歳の子(役の設定年齢は8歳)とは思えない演技を見せてくれます。

本作のフィリップ以外では、本国でのテレビ映画での出演が多いようですね。2009年に「グレイス・アナトミー」にゲスト出演しています。

ネタバレ・感想

イーストウッドは、当初監督として専念する予定だったようですが、脚本を見たコスナーから出演の申し出を受けたために、脇をしっかり固めるために自らも役として出演することを決めたのだとか。

演出についても、コスナーの方からアイディアを出した場面が多くあるようですね。イーストウッドの作品は、比較的ストレートであっさり目のものが多いですが、それらと比べると、一段踏み込んだ深みがあるように思います。

まとめ

全編を通じて、穏やかに物語が進むので、一対一の会話シーンが多いです。
ダークヒーロー的なブッチ役のケビン・コスナーや、
ブッチを見守るやや父親目線のクリント・イーストウッドはもちろん、
フィリップ役のT・J・ローサ―もなかなかの名子役ぶりを魅せてくれます。

この「パーフェクト・ワールド」、マックの家のくだりだけが、やや急過ぎて不自然です。
納得のいく解釈がしづらいんですよね。

「ああだったらよかったのにな」「こうだったらどうなっただろう」
なんて考えるのも映画を観る上での楽しみではありますが、可愛いフィリップには撃って欲しくなかったな~と毎回思います。

あの北野武氏も
「他監督の役者として出る時は監督に従う。作品はまず第一に監督のものだと思っている」
なんて言ってた覚えがあります。監督イーストウッドがこのエンディングを
強く望んだということなのでしょうか。

いずれにせよ、いい映画であることには変わらないと思いますがね。
(逆にハッピーエンドだとここまで惹かれない…?)

因みに吹き替えで観ると、イーストウッド演じるレッドの声は、ほとんど「ルパン三世」ですw

それでは、また次のレビューでお会いしましょう!

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