【第1回】映画「ショーシャンクの空に」レビュー

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公開から30年近く経った今でも色褪せない言わずと知れた名作ですので、ご存知の方も多いでしょう。

記念すべき第1回目は「ショーシャンクの空に」についてのレビューをお届けします。

日本での公開は1995年6月。(アメリカでは1994年9月)
ブルース・ウィリス主演の大人気シリーズ第三作「ダイ・ハード3」や、ナタリー・ポートマンのデビュー作の「レオン」の公開された年でもあり、個人的には、当時中学生だった私は、当時好きだった女の子を誘いジブリ映画の「耳をすませば」を観に行ってドキドキした思い出深い年だったりします。(´艸`*)

スティーヴン・キング著書が原作であることや、出演者のネームバリューから一定の話題性はありましたが、第67回アカデミー賞で6部門受賞の「フォレスト・ガンプ」人気に押され興行収入においても成功と言えるほどのヒットにはなりませんでした。
(っていうか、赤字だったそうです💦)

ただ、良いものとは朽ちぬもの。まさにこの映画で語られる“希望”がそうであるように、いつか必ず世に認められる時が来るのです。

今まさに目標を見失いそうなしょぼくれリーマンの私が、数年ぶりに鑑賞し、レビューさせていただきます!

(ネタバレ込みですので、ご了承ください)

【ショーシャンクの空に】基本情報

〇タイトル
『ショーシャンクの空に』(原題『The Shawshank Redemption』)

〇上映時間:143分

〇原作:有り
『刑務所のリタ・ヘイワース』
原題『Rita Hayworth and Shawshank Redemption』
(スティーヴン・キング著「ゴールデン・ボーイ」中に収録)

〇公開日
1995年6月公開(日本)
1994年9月公開(アメリカ)

〇監督
フランク・ダラボン

〇主な出演者
ティム・ロビンス(アンディ 役)
モーガン・フリーマン(レッド 役)
ボブ・ガントン(ノートン刑務所長 役)
クランシー・ブラウン(ハドリー主任刑務官 役)

〇その他の情報
第67回 アカデミー賞 7部門ノミネート

あらすじ

銀行の副頭取として手腕を振るっていたアンディ・デュフレーンは、ある日、妻とその不倫相手を射殺した罪で逮捕されてしまいます。

若く才能あるエリート銀行マンが妻殺しを犯したとなれば、話題騒然間違いなし。
しかし、実際には犯行には及んでおらず“弁護士にハメられた”ともいえる判決の末で投獄されます。

獄中で囚人たちは、口々に“俺は無実さ!弁護士にハメられたンだ!”と言いますが、。
皮肉なことに真面目なアンディこそが唯一本当に“ハメられた”受刑者として描かれるのがこのショーシャンクです。

同期の囚人たちとともにバスに揺られ、ショーシャンク刑務所に入所するアンディ。
真面目にエリート街道を進んできたアンディにとっては縁のないはずだった世界。

入所から最初の2年間は、アンディにとってまさに地獄の日々でした。
長身でウブな顔つき、エリート気質の雰囲気をまとうアンディは、一部の“オネエ”たちの恰好の餌食。追われては逃げる日々を繰り替えします。

一方、調達屋のレッドは入所当時から何となくアンディを気に入っており、執拗な嫌がらせに生傷の絶えないアンディを気に掛けていたのでした。

そんなある日、刑務所の屋根修繕をするための屋外作業の希望者の募集がありました。
通常、屋外作業は希望者が多くメンバーにはなかなか入れませんが、ベテラン囚人のレッドは、モノで看守たちに取り入り、仲間たちとともにアンディもこの屋外作業メンバに招きます。

アンディは屋根修繕の作業中に相続税に悩む刑務主任たちの会話を耳にします。
元銀行員のアンディはひと悶着ありながらも、刑務主任に助言をすることで、相続税の支払いを大幅に軽減させられることを説明しました。

結果、刑務主任に恩を売ったアンディは、屋根修繕を終えたらレッド達に冷えたビールを飲ませてやることを確約。
これを機に調達屋レッドや囚人仲間たちとの交流が本格的に始まるのでした。

屋根修繕の一件以降、アンディは、看守達たちの税金対策や家庭の費用捻出など、所謂「お金の相談」の相談役になります。
アンディが最初に手に入れるお金の相談役としての立場は、後々、ノートン所長との信頼を得るに至り、大逆転劇を演出する重要なキーになります。

また、ブルックスととも(ノートン所長の奸計もあるが)に図書係として働き、州議会に根気強く掛け合い、倉庫然としていた刑務所の図書館を改革していく様子や、若い新入り囚人トミーに高卒資格のための手助けをする様子は、アンディの性格や人柄を説明するだけでなく、刑務所内でも外と変わらぬ普通の人がいて、心があって、日常があることを演出しています。

中盤の平穏なシーンも衝撃の終盤を演出するためのひと休みといったところでしょうか。
それでも、老いぼれ図書館係ブルックスの出所後の訃報や、みんなに可愛がられていたトミーが所長らの都合で殺される場面は、キング作品の苦み渋みが演出されていますね。

トミーの死はクライマックスに向けての転換点になりますが、
が殺された理由は、たった一つ「ノートン所長にとって都合の悪い情報を握っていた」から。

トミーが以前いた刑務所で相部屋だったエルモ・ブラッチという男の話が、アンディの冤罪事件の真犯人である可能性があったからです。

そしてトミーの死はアンディの脱獄計画を加速させる一因ともなります。
(勿論、準備も整っていたのでしょうけど)

ノートン所長がアンディを服従させるための長期間の懲罰房行きの後、明らかに様子のおかしいアンディに、レッドは心配します。

アンディはレッドに言います「必死に生きるか、必死に死ぬか」だ、と。
(原文的には「生きることに気を遣うか、死ぬことに気を遣うか」というニュアンスらしい)

ある嵐の晩、いつも通りノートンの不正経理を手伝った後、アンディは脱獄計画を実行に移し、まんまと逃げおおせるのです。

今まで不正経理で使っていた架空の人物“スティーブンス”になりすまし、各銀行で多額の着服金を引き出します。

同時にショーシャンク刑務所の刑務所長の不正事実の明らかにする告発文を新聞社に送り、自分は予てより安住の地と決めていた「ジワタネホ」へと向かうのでした。

当然、ノートン所長は破滅の道を辿り、逃げ場を失った彼は拳銃自殺。悪政の片棒を担いでいたハドリー刑務主任もお縄となりました。

過ごしやすくなったはずの刑務所内ですが、一方のレッドもアンディの脱獄以降、すっかり元気ありませんでした。
ようやくの出所となったのちも、社会に馴染めず過去のブルックスの最後が頭をよぎります。

しかし、アンディが脱獄前に残した言葉を思い出し、言われた場所に向かい彼からのメッセージを受け取ります。

アンディのメッセージに従いメキシコに向かうレッドの胸はきっと希望でいっぱいだったことでしょう。

青い太平洋“記憶のない海”の波打ち際、
二人の男が再開の喜びを分かち合うシーンを遠目に見ながら、映画の幕は下ります。

キャストについて

ティム・ロビンス(アンディ役)

彼もまた役作り熱心な俳優であるようで、檻の中の動物を観察したり、刑務所を訪れて看守や囚人たちと話をしたりとかなりの研究を重ねて撮影に臨んだようです。

ちなみに原作では小柄な男として描かれるのに対し、ティム・ロビンスは190㎝超の大柄な俳優です。
作中では長身であることを強調するセリフが織り込まれていたりします。
半面、顔つきの童顔さは序盤、刑務所内での彼の今後をいい意味で心配させるのに、ひと役買っていると感じますね。

作中、アンディの入所から脱獄までの年月は約19年。長い時間の経過を年齢別に上手く演じているのも印象的です。

モーガン・フリーマン(レッド役)

少し調べてみたところによると、彼は何かを演じるに際して、台本を読む以上の役作りのための下調べはしないのだそうですね。現存する、もしくは最近まで存命だった人物を演じる時でも、どんな人物だったかを知る以上のことはあえてしない。調べすぎて、影響を受けることが間違った真似事につながることを嫌ったようです。

レッドは当然架空の人物ではありますが、彼の演じるレッドはフリーマン自身の解釈によるものなのかもしれません。

本作はレッドの視点で語られる場面が大半ですが、獄中の先達としての落ち着きと説得力は、作品に安定感を与えていると感じます。

また、彼の投獄に至るエピソードは映画の中ではあまり触れていませんが、彼の犯した罪について原作では描かれています。ぜひ探してみてください。

おまけ的に…、フリーマンの息子であるアルフォンソ・フリーマンが出演しているシーンもあるので探してみてください。

その他のエピソード

候補に挙がっていたキャスト

当初、メインキャストの二人については候補が色々挙がっていたらしく、
アンディ役にはトム・ハンクス、トム・クルーズ、ケビン・コスナーにオファーがあったと言われています。
ブラッド・ピットにも出演の話があったようで、ピット本人も脚本を気に入り出演を熱望したようですが、スケジュールの関係で流れたということです。

出演者で作品の質が決まるわけではないですが、名前を聞くと別のキャストでも観てみたかったなー、なんて思いますよね。

マンデラとフリーマン

南アフリカ共和国において、反アパルトヘイト運動で国家反逆罪として27年もの間投獄されていたネルソン・マンデラ元大統領も、本作のファンなのだとか。確かにフィクションとはいえ、他人事とは思えないでしょうね…

フリーマンが映画「インビクタス <負けざる者たち>」においてマンデラ役として出演しているのも興味深いです。(何か縁があったのかは未確認です)

 

作品についてのエピソード

今でこそ多くの映画ファンから愛され傑作として名高い「ショーシャンク」ですが、公開当初はそれほど話題にはなりませんでした。
興行収入は全米で1600万ドルであり、制作費も回収できなかったそうです。

また公開された1994年は「フォレスト・ガンプ/一期一会」や「ライオン・キング」などの話題作が多かったことや、映画の内容として、当時人気の主流だった派手なアクションがないこと、目を引く女優の出演がないことなども観客動員に伸び悩んだ原因でした。

しかし、その後口コミで次第に人気が高まり、特にCNN創業者で❝メディア王❞とも呼ばれるテッド・ターナー氏がライセンスを買い取り、高頻度で放送を繰り返した後は知名度が爆発的に伸び、現在の世界的知名度につながった、と言われています。

映画は、宣伝が動員数を大きく左右することが多々あります。
「ショーシャンク」もある意味救われた作品なのかもしれないですね。

原作との違い

これまでも何度か述べたように、本作はスティーヴン・キングの小説「ゴールデンボーイ<恐怖の四季-春夏編>」に収められている『刑務所のリタ・ヘイワース』を原作としています。
大筋の流れは原作に忠実ですが、比べてみると細かい点で結構違いがあります。

調べてみるのも面白いですよ!

【最後に】

おそらく10年ぶりぐらいの視聴でしたが、良い映画はやはり良いですね。
良いだけではなく、教訓を含む内容はその時の年齢やタイミングで見え方が違い、得られるものが変わってきます。

アンディの刑務所内での課題に取り組む姿勢は、社会での出世する人そのもので、取り巻きの囚人たちが所謂❝その他大勢❞で、「あー、自分はまだこっち側かなぁ、アンディすげぇなー」なんて思ったり。

また、救いや幸福感とは相互の関わりの中にこそあるのだと思いました。
誰かを思うからこそ、自らも救われ、頑張る力になる。
私は幸せになる、そして私を思ってくれる誰かにも幸せになってほしい。
心からそう思えた此度の「ショーシャンクの空に」でした。

いつも胸に“希望”を。
一歩ずつ前に進んで行きましょう!

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